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孔子伝

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白川静
中央公論新社
漢字研究の世界的第一人者である著者が描いた孔子像は、これまでの先入観を打ち砕くインパクトを持っている。孔子が起こした儒教と言えば、親を敬い、礼をつくすという、現代の道徳の基礎を作った思想のはずであった。しかし孔子の出生は、そのようなイメージとはまるでそぐわない、呪術集団を母体としていたことが本書で明らかにされている。孔子は、表面的には道徳を説く思想家であったが、その実体は、欲望うずまく当時の中国の中でもかなり特殊な立場にある神秘家であったというのだ。広く世に知られている孔子の言葉の数々も、そうした観点から眺めてみると、これまでとは違った意味を感じさせてくれるから不思議だ。中国には孔子以外にも思想的な巨人がたくさんいる。道を説いた老子、性悪説をとなえた旬子、独特の平和思想を提唱した墨子など、それぞれの独自の思想は、現代まで影響を及ぼし続ける力を持っている。なぜ中国にはこのように思想的な巨人達が数多く存在したのか。それは、もしかしたら漢字とメディアの存在が、そもそも呪文的な質を備えていたことが関係しているのかもしれない。

文庫
判型:文庫判
タテ152mm × ヨコ106mm
320頁
2003年1月1日
ISBN:9784122041608