ピーター・トムプキンズ, クリストファー・バード
工作舎
世界の神話や伝説では様々な形で、樹木崇拝の信仰が残っている。日本の神社では巨木に神が宿っているとして祀ったり、宗教的な儀式で植物が使われるなど、人間は、植物には何か特別な力があると考えてきた。能動的な存在である動物に対して、受動的な存在である植物。一見、動物の方が力関係では上に立っている様にも見えるが、長いスパンで考えてみた時、はたして本当にそうなのだろうか、という疑問が浮かぶ。植物は着実に地に根を張り、子孫を増やし、そして酸素まで作り出している。生きる長さは1000年以上に及ぶものがあるぐらいである。そういう視点から見てみれば、人間がなぜ植物に対して特別な力を感じてきたのか、うなずける点が多い。本書は、従来、科学的にとらえられることがなかった、植物の独自の感情世界の可能性について探究した先駆的な書である。共生という発想で考えた時、植物は無くてはならない地球の宝物である。人間もそんな植物の存在のあり方を理解し、学ぶ時が来ているのかもしれない。
2005年3月13日
ISBN:9784875021339