田中康弘
エイ出版社
日本の山間部に住む狩猟集団、マタギは、自然に敬意を払い、乱獲をしない独特の信仰を持つ。ルーツは、平安時代に遡り、修験者やアイヌとも言われる神秘と謎に包まれた存在だ。しかし現代のマタギは、猟での生計が困難なため、普段は社会人として生業し、継承は危機に晒されている。本書は、カメラマンの著者が、秋田県阿仁に住む、現役のマタギとの16年間を記録したフォトエッセイで、等身大のマタギを目にすることができる。蒔をくみ、熊を捌く。自然と同化しながら生きるマタギをみていると、私たちの生活とのギャップが浮かび上がるだろう。今でいう持続可能な社会を創る達人は、常に自然の脅威と美しさ、命を頂き繋ぐ連鎖、人間の尊厳とともに生きている。歴史の移ろいの風景を捉える本書から、私たちが教えられることは多い。
単行本(ソフトカバー)
判型:A5判
タテ210mm × ヨコ150mm
176頁
2009年3月24日
ISBN:9784777913121