ブッククラブ回 Online Store

  • リハビリの夜

リハビリの夜

2,200(税込)

数量

熊谷晋一郎
医学書院
熊谷晋一郎『リハビリの夜』では、脳性麻痺を持つ著者の幼少時代のリハビリ合宿や、その後の一人暮らし体験を振り返りながら、「官能」をキーワードとした独自の切り口で、リハビリやケアを行う介護者、さらには便器などの物質との関係性を作り上げる過程、すなわち身体外協応構造の構築について明らかにしている。そこで現れる「目線」は「まなざし/まなざされる関係」だ。健常者の動きを理想とする、あるべき動きに沿っているかどうかをチェックする介護者の目線。それによって緊張が過度に高まり、麻痺を持った身体の動きは一気に自壊する。この自壊の感覚を著者は「官能」と呼ぶ。介護者と「目線」が共有された時、その「官能」は「ほどきつつ拾い合う関係」の中、身を委ねる快感の中で起こるが、一方的に「まなざされる」状態にある時は苦痛も伴った鮮烈なものとなる。官能への耽り、そしてそこからの脱出によって自身で生み出す、他者によって理想とされたものとはかけ離れた独自の「動き」、そして関係性の間にある隙間や遊びなど、当事者ならではの視点は驚きに満ちている。

ISBN:9784260010047