文藝春秋
チェスや将棋のプロがコンピュータに打ち破られ、最後の砦として残っていた囲碁も大方の専門家の予想より10年早く、人工知能ソフトが人間の名人を打ち負かした。知能ロボットの研究とは、イコール、人間の心と脳の働きの研究とも言える。研究が進めば進むほど、人間が感じているはずの「私」があいまいになっていく。ロボット工学者の著者も自分そっくりのアンドロイドが自分よりも重宝される事態からアイデンティティが崩れかけたそうだ。本書は、アンドロイドとの共存を考えることで、人間という存在の定義に迫る。死生観はどう変化するのか。芸術家や政治家、宗教家のアンドロイドが無数に存在する未来とは。その時代のソーシャルネットワークはどんなものなのか。いつの日か隣人がアンドロイドとなり、人間の存在はますます揺らいでいく。
ISBN:9784166610570