コスモス・ライブラリー
人生に起こりうる矛盾と破綻、そして生きる不条理。旧約聖書の一節に収められた紀元前数世紀前のテキストは、私達に何を伝えようとしているのだろうか。非の打ち所のない善人で、信仰に厚いヨブという人物にふりかかる大きな災難を描いたこの寓話は、読み手それぞれの心をホログラムのように映し出すような力をもっている。合理性を追求する人間にとって、圧倒的で理不尽な出来事が人生に起こった時、今までの方向性を問い、大きな変化を迎えざるをえない。人生はコントロールによって解決されるべき問題である、というメジャーな仮説に、『ヨブ記』の不可解なテーマは大きな疑問を投げかける。「解決するべき問題」ではなく、「問題といかに向き合うのか」が大きな意味をなすのだろうか。果たしてヨブが掴んだ答えとは?
単行本
判型:B6判
タテ188mm × ヨコ130mm
152頁
2003年6月1日
ISBN:9784434033353