社会思想社
[ 仕事と人権 ]
日本人にとってのアフリカのイメージというとサファリ、動物、飢餓、明るい人々などだろうか。実は、アフリカの情報は日本であまり伝えられず、知られていない。そんな、遠い大陸アフリカであるが、豊かな資源、そして雄大な自然にめぐまれている。そのため、資源の少ないヨーロッパ諸国や先進国から長きに渡り、貿易で搾取され続けている。それらの製品や食品はわたしたちの手にも運ばれる。
そして、500年前。アフリカの人が奴隷としてアメリカやインド、中南米へ連れて行かれた。16世紀から18世紀まで、ヨーロッパを中心に行われていた奴隷貿易。ポルトガル、スペイン、オランダ、イギリス、フランスが参加、まさに国を挙げた一大ビジネスと言えよう。西アフリカから最盛期は700万人、のべ1500万人もの人々が首かせ、足かせをつけられて奴隷船に丸太のように詰め込まれ、アメリカへ渡った。長い船旅の間に病気にかかったり衰弱したりして、たくさんの人々が亡くなったそうである。目的地へ到着したら、奴隷市場で値段を付けられて売られ、アメリカ大陸、中南米のプランテーションの労働力のため一生無償で働かされた。
1977年日本で放映されたテレビドラマ「ルーツ」。このドラマに衝撃を受けた方々は多いのではないか。王族の血をひく『【used】ルーツ』の主人公、クンタ・キンテは16歳の時にさらわれ、奴隷としてアメリカに連れてこられた。こんな未来をどこの誰が予測出来ただろう。クンタが裸で逆さまに吊るされて、ムチで打たれるシーン。何が起きているのか、どうして吊るされているのか、どうして打たれているのか、どうしてこんなことをするのか。何のために? 子どもの時に見た光景は深く記憶に残る。
上巻ではクンタが住んでいたガンビアののどかな生活の様子からある日突然、白い布をかぶされて囚われ、船に乗せられてアメリカへ運ばれ、奴隷商人から農園へ売られ、農場の奴隷として働きはじめる様子が描かれる。数々の拷問を受けながらも家族を築き、逞しく誇り高く生きるクンタの半生。下巻ではクンタとベルの子孫達の物語が始まる。虐げられた波乱の人生の中で親達は子どもへ兄弟へ伝えるのだ。誇り高きクンタ・キンテの物語を忘れないようにと。その後、1862年奴隷が解放され、自由の身となる。そして7代後の著者アレックスは、小さい頃から聞いていたクンタ・キンテの一族を探しにガンビアへ渡る。グリオットと呼ばれる語り部から聞いたキンテ一族のルーツ。