新泉社
聖なるものであり、かつ徹底して俗でもある。肉体的な行為であっても同時に精神的交流でもある、とまるで量子力学において素粒子が波であっても粒であるということと同じように、相反する要素を合わせもつセックスという行為。
微妙でとらえがたいセックスにおいて、真に満ち足りた経験を得ることは可能なのか。
通常行われるセックスは、相手があってもマスターベーション的であるが、本書では「内なる異性」をはずし、純粋女性と純粋男性としてのセックスを提唱している。
肉体の結合だけではなく、「気のふれあい」にも言及し、著者が提唱した6箇条を守ることによって、多くの夫婦が満ちたりた関係をとり戻したという。ともすると肉体的なテクニックか精神論にかたむきがちであったセックス論の中で、バランスがとれており、実践的かつセックスの本質を考えさせてくれる本である。
また、著者がカウンセラーを引退した後に書かれていることから、類書に多い自己主張的な目的は感じられない。動物は純粋に生殖行為としてセックスを行うが、人間には生殖行為を超えたエネルギーが存在する。密教の立川流などはそのようなエネルギーを扱っていたのではないだろうか。
単行本
判型:46判(127×188)
296頁
2019年8月31日
ISBN:9784787719843