池田晶子
トランスビュー
もし、大人が本書を手にしたら、「私が14歳の頃にこの本に出会っていれば…」という思いを抱くかも知れない。あなたが接した<道徳の教科書>が、お説教で埋め尽くされていたのであれば、なおさらだろう。貴重である理由は、ただひとつ。これまでの学校教育に欠けていた「考えて、知る」という基本的な姿勢が、ここにはあるからだ。過去にも現在にも氾濫している「読んで、覚える」という刷り込み式のシステムは、知識を増やすだけで、答えを自分のものとして吸収することはできない。「自分が、思う」「自分が、わかる」ということを知らなければ、何を考えても無駄だからだ。自発性や創造性を育てるのは、「好奇心」だけなのかもしれない。これからの世界を作る若い人達には、ぜひ読んでもらいたい本である。
単行本(ソフトカバー)
判型:A5判(148×210)
209頁
2003年3月3日
ISBN:9784901510141