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  • カラマーゾフの兄弟 中

カラマーゾフの兄弟 中

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ドストエフスキー 著、原卓也 訳
新潮社
個は個でありえない。他を切り離し、独立した個人として生きていけると考えるのは間違いだ。ドストエフスキーは、遺作『カラマーゾフの兄弟』の中で、濃密に流れる関係性のカオスを描き出した。自分の中に存在する家族の資質は、時を変え、状況を変えるごとに顔を出す。高潔さ、誠実さ、醜さ、狡猾さ、愛憎。この小説は、家族の「のろい」のあらゆる側面を見せてくれる。著者は、未完の後編で、いったいどんな結末を用意していたのだろうか。家族の「のろい」は「縁」でもある。宇宙が紡ぎ出した壮大なタペストリーがここにある。

【著者紹介】
ドストエフスキー
Фёдор М.Достоевский

(1821-1881)19世紀ロシア文学を代表する世界的巨匠。父はモスクワの慈善病院の医師。1846年の処女作『貧しき人びと』が絶賛を受けるが、1849年、空想的社会主義に関係して逮捕され、シベリアに流刑。この時持病の癲癇が悪化した。出獄すると『死の家の記録』等で復帰。1861年の農奴解放前後の過渡的矛盾の只中にあって、鋭い直観で時代状況の本質を捉え、『地下室の手記』を皮切りに『罪と罰』『白痴』『悪霊』『未成年』『カラマーゾフの兄弟』等、「現代の予言書」とまでよばれた文学を創造した。

【訳者紹介】
原卓也
ハラ・タクヤ

(1930-2004)東京生れ。東京外国語大学ロシア語科卒。同大教授、学長を歴任。トルストイ、チェホフ、ドストエフスキー等の翻訳多数。著書に『スターリン批判とソビエト文学』等。

文庫
624頁
1978年7月24日
ISBN:9784102010112