アーノルド・ミンデル
英治出版
いったん起こってしまった怒りのエネルギーが、強大なものになった時、いわゆる「愛」の力でそれを鎮めるのは難しい。理屈などもちろん通用しない。著者が提唱するプロセスワークは、問題点や解決法を求めるのではなく、「関係性とプロセス」に注目した深層心理学の一つの手法である。答えがない心理学といえば良いのだろうか。対立が起きたら、その流れを重要視する。鎮めようとせず、むしろ意図的にその中に入っていき、そこで起こるプロセスを信頼するのだ。社会的に大きな問題に取り組むだけでなく、家庭や職場など、目の前の緊張に向き合うことが、世界にとって大きな意味があるという。私たちが学び始めるための最良の場が、自分からもっとも近い場所にある対立ということだ。2001年『紛争の心理学』の復刊、完訳版。
【目次】
第1部 人間の内側から見る対立の歴史
第1章 炎――自由の代価
第2章 集団――きわめて困難な試練を与える教師
第3章 ランク――ダブルシグナル
第4章 人間関係におけるパワーと偏見
第5章 復讐と文化の変容
第6章 テロリストを抱きしめる
第7章 ファシリテーター自身が抱える虐待の問題
第8章 公然の虐待と、自分の声を見出すこと
第9章 良い社会がいかに戦争をつくりだすのか
第10章人種差別主義者は誰?
第2部 変化を起こすエルダーシップ
第11章 「激流」について歌う
第12章 誰がお金を持っているのか?
第13章 エルダーのメタスキル
第14章 暴力や怒りと向き合う
第15章 戦争状態に関する、テクニックとタオ
第16章 アウェアネスの革命
単行本(ハードカバー)
判型:四六判
432頁
2022年12月14日
ISBN:9784862763068