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リルケ詩集

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リルケ 著、富士川英郎 訳
新潮社
生の不安を繊細な神経のふるえをもって歌った二十世紀前半ドイツ最大の詩人リルケの詩から、特にリルケ的特徴の著しいものを選んだ。その独自の風格を現わしはじめた最初の詩集『時祷集』から、『形象集』『新詩集』を経て、実存の危機と深淵を踏みこえて変身してゆく人間の理想像を歌って現代抒情詩の金字塔といわれる『オルフォイスへのソネット』ならびに死の直前の詩までを収める。(出版社紹介)

【著者紹介】
リルケ Rilke,Rainer Maria
(1875-1926)プラハ生れ。オーストリアの軍人だった父によって入学させられた陸軍士官学校の空気に耐えきれず約一年で退学。リンツの商業学校に学びながら詩作を始める。二度のロシア旅行の体験を通じて文筆生活を決意し、詩の他、小説・戯曲を多数発表。後にパリに移り住み、一時ロダンの秘書も務めて大きな影響を受けた。また生涯を通じて数多くの書簡を残している。代表作に『マルテの手記』『若き詩人への手紙』など。


【目次】
『時祷集』(一八九九―一九〇三)から
「僧院生活の巻」(一八九九)から
いま時間が身を傾けて
もろもろの事物のうえに張られている
お隣りにおいでの神様
私がその中から生まれてきた闇よ
その生活のかずかずの矛盾を宥和し
私が親しくし 兄弟のようにしている
どうなさいます 神様
葡萄畠の番人が
「巡礼の巻」(一九〇一)から
永遠の人よ あなたは私に姿を現わされた
私の眼を消してごらんなさい
あなたを探し求める人々はみな
あなたは未来です
昼間 あなたはささやいて
いま 赤い目木の実がもう熟れて
「貧困と死の巻」(一九〇三)から
私をあなたの曠野の番人にして下さい
なぜなら 主よ 大都会は
おお 主よ 各人に個有の死を与え給え
大都会は真実ではない
彼らは貧しい人々ではない
なぜなら貧困は内部からの
貧しい者の家は聖餐台のようだ

『形象集』(一九〇二―一九〇六)から
或る四月から
立像の歌
花嫁
幼年時代
隣人
アシャンティ
嘆き
孤独
秋の日
回想

進歩
予感
厳粛な時
噴水について
読書する人

『新詩集』(一九〇七―八年)から
早期のアポロ
愛の歌
献身
橄欖園
ピエタ
詩人に与える女たちの歌
詩人の死
仏陀
日時計の天使
モルグ(屍体公示所)

幼年時代
或る女の運命
タナグラ人形
別離
旗手
クルティザーネ
オランジュリーの階段
ローマの噴水
古代のアポロのトルソー
レダ
老婆たちのひとり
盲人
老女
群像
蛇使い
海の歌
肖像
姉妹
薔薇の内部
日時計
薔薇色のあじさい
読書する人
林檎園

子供

一九〇六―一九〇九年の詩
マドレーヌ・フォン・ブローグリー侯爵夫人に
春風
狂人と囚人のための祈り
ヴォルフ・フォン・カルクロイト伯のための鎮魂歌
歌曲
噴水

一九一三―一九二〇年の詩
スペイン三部曲
天使に寄す
ナルシス
ナルシス
予め失われている恋びとよ
ベンヴェヌータに
嘆き
彼女たちを知ったからには死なねばならぬ
ほとんどあらゆるものが
心の頂きにさらされて
もう一度 心の頂きにさらされて
愛のはじまり

音楽に寄す
ロッテ・ビーリッツのために
いま窓のあたりに
奇妙な言葉ではないか
お前に幼な時があったことを

『オルフォイスへのソネット』(一九二三)から
そこに一本の樹がのびた
ひとりの神ならそれができる
記念の石は建てないがいい
影たちのなかでもまた
ゆたかな林檎よ
待て……この味わい
だが 主よ おんみに何を捧げよう
春がまた来た
呼吸よ 眼に見えない詩よ
花園を歌うがいい 私の心よ
もう お聞き 最初の熊手が

一九二二―一九二六年の詩
いつひとりの人間が
涙の壺
ニーケのために
ヴァリスのスケッチ七篇
果実
エロス
早春
既に樹液は 暗く根のなかで

小川が土地を酔わせている
あまりにも久しく抑えられていた幸福が
少女たちがととのえる 縮れ毛の
もっと寒い山々からの
鳥たちが横ぎって飛ぶ空間は
世界はあった 恋びとの顔のなかに
重力
「鏡像」三篇
ああ 涙でいっぱいのひとよ
来るがいい 最後の苦痛よ
薔薇 おお 純粋な矛盾


解説

文庫
246頁
1963年2月20日
ISBN:9784102175026