ロビン・ダンバー 著、小田哲 訳
白揚社
進化心理学の巨人ダンバーが描く、人類と信仰の20万年。仏教、キリスト教、ヒンドゥー教、神道……世界の主要な宗教は、なぜ同じ時期に同じ気候帯で誕生したのか? カルト宗教はなぜ次々と生まれ、人々を惹きつけるのか? 科学が隆盛を極める現代においても、宗教は衰えるどころかますます影響力を強めている。ときに国家間の戦争を引き起こすほど人々の心に深く根差した信仰心は、なぜ生まれたのか? そして、いかにして私たちが今日知る世界宗教へと進化したのか? 「ダンバー数」で世界的に知られ、人類学のノーベル賞「トマス・ハクスリー記念賞」を受賞した著者が、人類学、心理学、神経科学など多彩な視点から「宗教とは何か」という根源的な問いに迫った、壮大なスケールの一冊。(出版社紹介より)
【目次】
日本の読者へ
はじめに
第1章 宗教をどう研究するか
駆け足でたどる宗教の歴史/宗教研究のこれまでのアプローチ/進化論的背景を荷ほどきする
第2章 神秘志向
神秘主義者の心をのぞく/トランス状態では何が起こるか/シャーマンの世界/天国の扉、地獄の扉
第3章 信じる者はなぜ救われるのか?
個人レベルの利益/社会レベルの利益/コミュニタスとコミットメント――共同体の結束/外的脅威 → 集団規模 → ?
第4章 共同体と信者集団
共同体の規模と社会脳仮説/小さな社会はどれくらい小さいのか?/信者集団の最適な大きさは?/信者集団のダイナミクス
第5章 社会的な脳と宗教的な心
私たちを結びつけるもの/信頼、そして友情の七つの柱/言葉づかいにはご用心/メンタライジングと宗教心/脳のなかの宗教
第6章 儀式と同調
儀式には何がある?/儀式の神経心理学/動きを同期させたときに起こること
第7章 先史時代の宗教
重大な証拠は墓にある/大昔のマジック・マッシュルーム/原始宗教を再構築する/遠い時代から推理する
第8章 新石器時代に起きた危機
村の暮らしが始まった/教義宗教の台頭/宗教と法の支配/一神教と枢軸時代
第9章 カルト、セクト、カリスマ
事例研究――メイベル・バールトロップとパナシア協会/カリスマ指導者/信者はなぜカリスマ指導者についていくのか?
第10章 対立と分裂
なぜ宗教は分裂するのか/二つの宗教の物語
謝辞
解説 ヒトの進化と宗教の起源――長谷川眞理子
註
参考文献
索引
単行本(ハードカバー)
判型:四六判
352.頁
2023年10月3日
ISBN:9784826902489