上住節子
東洋書院
世界がどれほどグローバル化しようとも、東洋に固有の文化やものの考え方は、そう簡単に変わるものではありません。
先に上梓した『宿曜占法』(大蔵出版)でも述べましたように、「陽」の文化を信奉する欧米の人びとが、分化・発展と闘争に終始してとどまるところを知らないのに対して、私たち東洋人は、内包・含蓄と平和の「陰」の文化に支えられてきました。
本書でご紹介する「算命占法」もまた、欧米化され危機と不安に満ちた今日の社会で、「陰」の働きを重視する「老荘思想」に依拠して、平穏な生き方を見いだすことを本来の目的としています。
人間にはそれぞれもって生まれた「命」(素質・能力)があり、この命を知って(知命)、それを十二分に開花させるべく努力することを「立命」といいます。
一方、自らの命を知ろうともせず、あるいは命に反して、不幸で不安定な一生を送り、それを「運命」と諦めるのを宿命論といいます。
算命占法は、人びとが、自らの命を知り、その命に従って無為自然で平穏に生き、自らの命を全うするためのもので、そのために編み出されたのが、陰陽・五行と、十干・十二支、及び「十大主星」と「十二大従星」による算命占技です。
この場合、陰陽の「陽」は、人が一生を通じて生成・発展し、自らを高揚・顕示していく働きをいい、「陰」は、陽の働きと平衡して、自らの活力を内に蓄積していく働きをいいます。
そして「五行」は、この陰・陽という二つの側面をもつ生命の活動の在り方を、木・火 ・土・金・水という五つの抽象的な概念で説明したものです。
さらに「十二支」は、人間の一生に象徴される生命の生成・発展・収斂・閉蔵の循環過程を十二の段階に分けて、それぞれの段階で本人をとりまく内外の状況を示したものであり、「十干」は、その各段階の状況に本人がどう対応すべきかを表わしています。
人への応対から、仕事への対応までを含めて、人の一生のこの対応・応対の仕方が、運命を大きく左右することになります。
このような生命活動の原理を知って、それを実践することができれば、人生の禍福・吉凶は大きく変わってきます。
なお、十干と十二支から導き出される「十大主星」と「十二大従星」は、どちらかといえば「算命学」に固有な占技の領域に属する概念ですから、本書では扱わず、『算命占法 ・下』で詳しく述べることにいたします。
―出版社紹介 はしがきより
箱入り
単行本
判型:A5判(148×210)
360頁
2002年6月5日
ISBN:9784885943195