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  • 香君 1

香君 1

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西から来た少女
上橋菜穂子
文藝春秋
まるでコロナ禍を暗示していたかのような疫病との闘いを描いた『鹿の王』から7年、作家で文化人類学者の上橋菜穂子が2022年に発表した生態学研究に基づく長編小説。「飢えの雲、天を覆い、地は枯れ果て、人の口に入るものなし」――香りで万象を知ることのできる活神「香君」の加護のもと、奇跡の稲に依存しながら繁栄を極めた帝国に、あるとき不思議な虫害が発生する。人間の欲深さが災いし、次第に事態は深刻な食料危機へと発展していく。人並み外れた嗅覚をもち、植物や虫が香りで発する声を聴くことのできる主人公の少女アイシャが、生きとし生けるものを救うため困難に立ち向かう、いのちの共生を描いた物語。食をめぐる問題に揺れる今を生きる私たちの心に、声なき声のメッセージはリアリティをもって訴えかけてくる。


【著者】
上橋 菜穂子
1962年東京生まれ。文学博士。川村学園女子大学特任教授。
1989年『精霊の木』で作家デビュー。著書に『精霊の守り人』をはじめとする「守り人」シリーズ、『獣の奏者』『鹿の王』『香君』など。2024年9月より『香君』文庫版の刊行が始まった。
野間児童文芸賞、本屋大賞、日本医療小説大賞など数多くの賞に輝き、2014年には国際アンデルセン賞作家賞を受賞。20年、マイケル・L・プリンツ賞オナー、日本文化人類学会賞を受賞。医学博士・津田篤太郎との共著『ほの暗い永久から出でて 生と死を巡る対話』もある。

文庫
256頁
2024年9月10日
ISBN:9784167922696