出口王仁三郎 著、武田崇元・黒川柚月 監修
八幡書店
「言霊は、風になる。水になる。祈りになる」。大正11年、大本教開祖の一人、出口王仁三郎が奏上する天津祝詞、大祓詞、天の数歌などが吹き込こまれた幻のSPレコード。その貴重な音源をデジタル・リマスターでクリアに復元したCDブック。「言霊を入れて拝む」奏上法の響きを体感できる。CD付属。
【CD収録内容】
天津祝詞 2:42
神言(大祓詞) 12:02
天の数歌 0:36
真の信仰 3:33
基本宣伝歌 1:35
総説歌 1:18
思い出の歌 10:20
基本宣伝歌(みろく踊花明山節) 3:03
大本宣伝使歌(みろく踊花明山節) 2:45
一ノ谷嫩軍記(みろく踊花明山節) 10:22
以下、出版社サイトより引用
●改訂にあたって 黒川柚月
CDをお聞きになればわかりますが、王仁三郎の祝詞奏上は、一般の神社で唱えられる抑揚のない平調とは異なり、一音一音を引き伸ばすことで祝詞に息吹を吹き込む独特の奏上法でした。
今回、入手した大正8年版の大本祝詞集『善言美詞』は、それに対応する“元テキスト”として、語尾の伸ばし、息継ぎの符号が記されています。増補改訂にあたっては、この幻の祝詞テキストを忠実に翻刻し掲載しました。この奏上法は「言霊を入れて拝む」技法とされ、当時の大本信徒はこれに従って神言を唱えたのです。これに関しては八雲琴の奏者である田中緒琴の面白い回想があります。
大正13年頃、田中は寒稽古のため大本の社務所に寝泊まりしますが、音には敏感なこともあって、和知川の激しい瀬音のため眠れない夜が続きます。しかし、1週間も経つと、その和知川の瀬音が、みろく殿で奏上されている神言のように聞こえて来ます。それも、リズムだけではなく、実にはっきりとタァカァアァマァという言葉に聞こえだし、神さまの言霊を自然の水の流れのなかから聞くことができたとしみじみ感じ入ったというのです。
これは「言霊を入れて拝む」王仁三郎流の祝詞奏上が天地の律動と呼応するものであったことを物語るエピソードと言えます。
増補改訂にあたっては、この王仁三郎流の祝詞奏上技法の淵源について、大本言霊隊を含めて考察した拙論を収録させて頂きました。キーになるのは鶴殿親子です。醍醐侯爵家出身で鶴殿男爵家に嫁いだ公家社会のど真ん中の人物で、妹は久邇宮王妃でした。大正6年、その鶴殿が綾部に王仁三郎を訪ね、その場で大本に入信します。大本には、明治の国家神道政策で抑圧された神道霊学や土着シャーマニズムの流れとともに、鶴殿親子を媒介として宮家や公家社会に淵源する有職故実や神道祭祀が流れ込んだ形跡があります。筆者の見立てでは王仁三郎流の祝詞奏上法もその一つです。それは神社神道はもとより今や大本教団でも忘れさられた日本の古い祝詞奏上の様式です。ぜひCDを聴きながら拙論にもお目を通して頂ければと思います。
単行本(ソフトカバー)
判型:A5判(148×210)
137頁
2017年6月30日
ISBN:9784893509765
![出口王仁三郎 言霊 大祓 祝詞 CDブック [増補改訂]](https://makeshop-multi-images.akamaized.net/bookclubkai/itemimages/000000007579_K1m9Xte.jpg)