阮義忠
みすず書房
長期に亘る戒厳令下の台湾、押し寄せる工業化、都市化の波により、大きく変わろうとしていたこの時代を写し取るべく、著者はバスで旅に出た。そこには、多様な民族的背景に基づき、それぞれの土地に根ざした力強い暮らしが息づいていた。ファインダーの向こうから見つめ返すまなざしに、著者は何を思ったのか、当時の様子を振り返りながら語られる、写真と文章による、生きることについての思索集。
【目次】
天からの贈り物――序に代えて
第1章 成長
ちいさな小学校の国旗掲揚式/美濃、うちに帰る子ども/《洗濯図》に二人の友を想う/埔里の兄弟/都蘭、サトウキビの香り/二龍村の井田/澳花の「三代同洗」/負ける甘み/大地の遊びと口琴の踊り/鹿港の昼食/桃源村の過客/永靖、好徳の家/寄り添うふたつの影/車城の海角何号?/比利良、最後の家族/戻ってくるから放してあげるんだ/恒春、牛の放牧をする祖父と孫/多納の夜明珠/月光の下に生まれたすてきな物語/血縁のぬくもり/山奥の小学校の算数の授業/心が通じ合ったとき/子ども時代との別れ
第2章 労働
頭社の米はよい香り/失われた風景/落花生畑の楽章/種まきと伝承/ブヌン族の睦言/山のむこうがわ/福を惜しむ西螺の老人/籠渡しの農夫/墾丁農場の孤独な女工/風櫃の蒙面女/水 のブダイ/静寂の世界/藺草の清らかな香り/農婦の彫像/愛でつながれた家族/パイナップル畑の背中/二水郷の十字路/蘆洲の滄海桑田/碧侯村の濃煙/賽嘉村の笑顔/蘭嶼の重荷/紅葉、ある家族の四世代/写真は両面鏡のよう
第3章 信仰
北港の媽祖信徒たち/蘇 、陸の上をゆく舟/写真と信仰/蘭嶼の白日夢/蘭嶼の髪舞い/美濃の伯公壇/旗津、神々に捧げる歌劇/武界での祈り/多納のカトリック教会の子どもたち/関廟、関守りのような老婦/多納の授乳図/廟の番人と子どもの対局/比利良の栄光の冠/利稲での懺悔/安平古堡の渡し舟/農夫とかかし/監視員と詩人/裸身と誠実/宣誓、あるいは厄払いの儀式/漁に出た父さんは、どうしてまだ帰らないのだろう/遠ざかっていく友たち
第4章 帰郷
魂の肖像/美しくも危うい「景」と「色」/夢の中の夢/今世と来世/人生の饗宴/祖母と孫娘の答え/永遠の師/頭城の竹職人/空ろなる告別の場/未知の旅路へ/流れゆく光陰のなかの光と影/長白山の夕日と日の出/永遠に愛の河に浴する長寿の人/舞台の上も下もすべては芝居/葬式のある死、葬式のない死/家を離れる途中か、それとも帰る途中なのか/わが子よ、憶えているかい?/子ども時代の道を歩く
単行本
判型:A5判(148×210)
352頁
2026年7月10日
ISBN:9784622098546









