C・G・ユング
みすず書房
現在では大きな学問に育ち、一般的にもよく知られる心理学という分野だが、フロイトによって提唱された時代には、それまでの常識を覆す驚くべき新発想だった。
そのような時代において「心理学」という分野を築き上げた人々は、ある意味で命がけの戦いをしていたに違いない。そんな立役者の一人として、集合無意識や元型など、心理学の概念で大きな発見を行ったユング。彼は東洋思想や仏教、神秘主義などにも深い関心を持っていたため、その発見は心理学の分野にとどまらず、人間の心について新しい側面を教えてくれた。
いったい彼はどんなことを思い、このような研究に向かっていったのか。本書はユングがその生涯を回想した口述をまとめた自伝。ユングのリアルな姿が浮かび上がってくる。
ユングは、少年時代より人間の内面に潜む世界に強い興味を持ち科学というよりも、むしろ生きていることの神秘を求め続けた少年だったことがわかる。ユングはフロイトの弟子であり父のように彼を慕いながらも、後には異論を唱えて決別をした。その過程が生々しく描かれている『ユング・フロイト往復書簡』もたいへん興味深い。
単行本
判型:B6判(128×182)
ISBN:9784622023302