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熊楠と幽霊

946(税込)

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志村真幸
集英社インターナショナル
明治末期、政府は神社合祀政策を進め、日本各地の神社が破壊された。なかでも和歌山と三重では神社数が激減。故郷の和歌山県熊野を拠点に生物学者・民俗学者として活躍していた南方熊楠は、伐採の危機に瀕した鎮守の杜の生態系を守るため反対運動に立ち上がったことでエコロジストの先駆けとして知られる。一方で、幽体離脱や心霊現象など奇妙な体験に悩んでいた熊楠は、ブラヴァツキー夫人の『ベールをとったイシス』をはじめ世界中の異界にまつわる文献を収集し、解決策を求めたという。本書は、彼が書き残した膨大な文章の中から、心霊、幽霊、超能力、妖怪、民俗学、精神、夢に関する研究を総合的に読み解き、等身大の熊楠像を浮かび上がらせる


【目次】
第1章 幽体離脱体験
第2章 夢のお告げ
第3章 神通力、予知、テレパシー
第4章 アメリカ・イギリスの神秘主義と幽霊
第5章 イギリス心霊現象研究協会と帰国後の神秘体験
第6章 熊楠の夢
第7章 親不孝な熊楠
第8章 スペイン風邪、死と病の記録
第9章 幽霊や妖怪の足跡を追う
第10章 水木しげる『猫楠』と、熊楠の猫

【担当編集者より】 ※出版社サイトより引用
幽霊って本当にいるのでしょうか?
すでに日頃から見える人にとっては当たり前の存在なのかもしれません。そうでない人で、否定的な立場をとる人も、何かの拍子に幽体離脱をしてしまったり、夢で故人に会ってヒントをもらったりなどといった不思議な体験をすれば、幽霊、あるいは魂の存在を少しは信じるようになるのではないでしょうか?
知的好奇心が旺盛で、森羅万象の理を解き明かそうと、幼い頃よりあらゆる書物を読んでは書き写していた南方熊楠が上記のような体験をしたことは、後世の私たちにとっては、本当に幸運でした。世界各地の幽霊や妖怪の話をとことん調べ、書き残してくれているのですから。
是非、本書をお手に取っていただき、熊楠が何を調べ、どのように考えたのかをお楽しみ頂けたらと思います。
なお、著者の志村さんをはじめ、熊楠研究者の方々に聞いたところでは、熊楠の書き残したものはあまりにも膨大で、まだ多くの文献が日の目を見るのを待っているのだそうです。
これからの南方熊楠研究が楽しみです。

新書
240頁
2021年2月5日
ISBN:9784797680652